[マーケティングとは 10分でわかるマーケティング入門]
マーケティングとは?
10分でわかるマーケティング入門
●マーケティングの入門講座
S&T代表の無料マーケティング基礎講座へようこそ! まずは基本をしっかり抑えておきましょう。
「マーケティング」と聞いて、何をイメージされますか?
「マーケティング」という言葉は色々な誤解を生みます。「マーケティング」のイメージを聞くと、こんな答えが返ってきます。
・市場調査(マーケットリサーチのことか?)
・広告をつくること(マーケティングの一部だが全部ではない)
・POPやカタログを作ること(同上)
などです。定義の問題ですので、「マーケティングはそういうものだ」と定義されるのは別に構わないのですが、ストラテジー&タクティクスはこう考えます。
マーケティングとは?
マーケティングとは、「お客様に価値を提供してお金をいただくこと」、だと。シンプルですね。難しい単語もありません。これだけです。ただ、さすがにこれでは具体性に欠けるので、どういうことか、説明していきましょう。
マーケティングで知っておくべき言葉・概念はそんなに多くありません。
マーケティングの基本用語
1) ベネフィット
2) 差別化と強み
3) セグメンテーションとターゲティング
4) 4P
これくらいの言葉を抑えておけばほぼ大丈夫でしょう。それぞれの言葉は、全く難しくありません。試験にありがちなそれぞれの言葉の意味を説明できるだけだったら、10分でできるようになります。それぞれの言葉をそれぞれに知っている方は多いでしょう。というかマーケティングをやったことのある方はまずご存じでしょう。しかし、関連づけて理解されている方は非常に少ないと思います。この4つの概念は、実は全部つながっているのです。
では、基本用語を説明して行きましょう。
●基本用語その1:ベネフィット
お客様があなたの商品を買うのは、商品自体が欲しいのではありません。商品がお客様にもたらす何か良いこと、それを買っているのですノ。
ドリルを買うのは、ドリルという器具ではなく、穴が欲しい
コーヒーを飲むのは、黒くて苦い液体ではなく、リラックスや眠気覚ましが欲しい
高級車を買うのは、1t の精密機械ではなく、見栄がはりたい
ゴルフクラブを新調するのは、金属の棒が欲しいのではなく、飛距離や良いスコアが欲しい
お客様が欲しい、何か良いこと、問題解決、なのですね。
お客様は、あなたの商品が欲しいわけではなく、自分にとって良いことが欲しい。当たり前のことですが、ついつい忘れがちなことです。
つまり、これが先ほど申し上げた、「お客様に価値を提供してお金をいただく」の、「価値を提供」という部分です。
「穴」「リラックス」「見栄」「スコア」がそれぞれ価値なのですね。
では次の基本用語に行きましょう!
●基本用語その2:差別化と強み
お客様に価値を提供すれば買ってもらえるかというとそうもいきません。その価値を提供しているのはあなただけではないからです。競合が存在します。その競合商品よりも、あなたの商品の方が高い価値を提供し、それをお客様に納得していただく必要があります。
競合商品と全く同じであれば、安い方を買うでしょう。あなたがコストリーダーであればそれでも良いかもしれませんが、これはなかなかきつい話です。価格競争力を持つのは素晴らしいことですが、価格だけで勝負すると、体力勝負になってしまいます。天下のマクドナルドだって、価格だけでは勝負していません。英会話教室のシェアトップ、NOVAも低価格だけではやっていけなくなり、値上げしました。
catergory管理は何ですか
競合商品ではなく、あなたの商品を買う理由、競合商品との違いをお客様に訴える必要があります。
小売店の場合、扱っている商品が競合店と同じこともあるでしょう。それでも、あなたの店から買う理由を納得していただく必要があります。そうでなければ、泥沼の価格競争になり、負けた方は退場、買った方も傷だらけ、となります。
では、何を持って差別化すると言うかと、あなたの会社の強みを使うのです。普通、弱みで差別化することはありませんから、「差別化ポイント=あなたの強み」ということになります。あなたが競合他社より強いところで差別化しようとしなければ、負ける、追いつかれるだけです。
強みが無かったらどうする?
強みが無いことも実は多いのですが、それに対する答えは簡単。
・探しましょう。無ければ、もう一度探しましょう。
・作りましょう。競合よりも努力に努力を重ねて作りましょう
ということになります。
どんな強みを作るのか、が戦略次第です。それは、どんなお客様にどんな価値を提供したいのか、自分が得意とすることは何か、などによって変わります。
お客様は正直です。よりお客様にとって便利な方、より役立つ方、よりたくさんの情報を提供してくれる方、より見やすい方、より愛想のよい方、などから買うわけです。それぞれが強みの例です。
強みがない、ということはありません。必ず何かはあるはずです。
強みについては、3つの方向性で考えるといいです。
1)手軽軸:より低価格で、より便利に買いやすくする
2)商品軸:最新の技術の製品、最高のサービスを提供する
3)密着軸:お客様のことをよく知り、望み・わがままをかなえる
通常はこの3つのどれかで差別化することになります。
例えば、美容院の場合
1)手軽軸
安くて早い理容店。例えば、10分1000円のQBハウス
2)商品軸
最新技術・流行を駆使するカリスマ美容師。表参道などの繁華街にある。
3)密着軸
お客様のことをよく知り、おしゃべりもうまく、「いつもと同じね」と言えばいつも通りに切ってくれる
というような差別化戦略になります。個人顧客対象、法人顧客対象を問わず、ほぼ全ての業種・業態でこれは起きています。
ちなみに、ポジショニングという言葉はあえて避けています。色々と誤解を招きやすい言葉です。若干の意味合いは違いますが、マーケティングで言うポジショニングは、「差別化」とほぼ同じ意味ですので、誤解を招きにくい「差別化」という言葉を使いましょう。
では次の基本用語に行きましょう!
●基本用語その3:セグメンテーションとターゲティング
あなたの強みがわかったら、または、決まったら、それを評価してくれるお客様はどんな人かを探りましょう。
あなたの強みを評価してくれないお客様を長期的に維持するのは難しいです。もちろん、評価してくれなくても、買っていただければそれでいいのですが、それを頼りにすると、売上が安定しません。そのお客様が評価する強みを提供する顧客に簡単に奪われてしまいます。
あなたの強みが、きめ細やかなサービスなのであれば、それを評価してくれるお客様を定義するのです。
セグメンテーション、というのは、お客様を分けることです。
ターゲティングは、分けたお客様のどれかに絞ることです。
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なぜ絞らないといけないのか、というと、絞らなければ絞った競合に負けるからです。私が、全ての会社を対象としたコンサルティングを提供しているとしましょう。競合のコンサルタントさんが、メーカー向けのコンサルティングを提供したら、メーカーさんはそちらに行くでしょう。別のコンサルタントさんが、小売業向けのコンサルティングを提供したら、小売業さんはそちらに行くでしょう。お客様を絞らずに多くのお客様を取ろうとすると、絞ってきた競合に負けるのです。
あなたがある市場を独占していればいいですが、通常は競合(広い意味での競合も含めて)が存在します。ですから、絞るのです。
セグメンテーションとターゲティングは常にセットです。絞らない、狙わないのであれば、分ける(セグメンテーション)必要はありませんし、狙うためには、分けることが必要です。ですから、セグメンテーションとターゲティングは常にセットになります。
やり方については色々ありますが、
セグメンテーションの本質は、ニーズが違うから分ける
ということです。分類手法、統計などはあくまで手段です。マーケティングのプロほどこの本質を見落としがちです。
では次の基本用語に行きましょう!
●基本用語その4:4P
具体的にどのように差別化して、どのようにお客様を絞っていくか、という切り口が4Pです。4Pは、
Product(製品):売り物の商品・サービス
Price(価格):値段・価格体系
Promotion(販促):広告などを含む広い意味での売り方です
Placement(流通):販路
パソコンを売るのであれば、
製品
・パソコン、パッケージ、など
価格
・値段、どこまで値引きするか、しないか
販促
・テレビコマーシャル、製品カタログ、店頭のPOP、セールストーク、営業パーソンまで含めた売るための仕掛け
販路
・ネット販売、量販店、自社ショップ、などのチャネル
となります。4Pは、マーケティングの本には金科玉条のごとくに出てきますが、ある意味当たり前のことです。
ポイントは、あなたの強みを、あなたの強みを評価する顧客に訴えられるような4Pはどんなものか、ということです。「高級路線で差別化しよう」と言っても、お客様には何のことかよくわかりません。お客様が目にするのは、製品、価格、POP・広告、店・販路・営業担当者、などです。「差別化」を具体的なものとして、お客様に直接「価値」を提供するものが4Pなのです。
●ポイントは、「お客様への価値の提供」
まとめると、
1) ベネフィット = お客様にとっての「価値」
2) 差別化・強み = お客様に、競合より高い「価値」を提供すること
3) セグメンテーション・ターゲティング = あなたが提供する「価値」を高く評価してくれるお客様を選ぶ
4) 4P(製品、価格、広告、販路) = 競合と差別化し、お客様に「価値」を提供する
となります。このような基本原理は、どんなマーケティング本にでも多分書いてあります。が、バラバラに書いてあることが多いので、わかりにくいのです。
「お客様に価値を提供する」という筋を一本通すと、この4つの基本理論が全てがつながります。
言われれば当たり前のことかもしれませんが、そのような視点で書いてある本や、説明する人はほとんどいません。ほぼ全ての本が、このような理論が章立てをわけて、別々の理論として開設されています。
税務会計とは何か
お気づきの通り、マーケティングの基本原理は単純です(簡単とは言ってませんよ。単純なのと簡単なのは全く違うことです)。当たり前のことです。
1) お客様が求めているベネフィットは何か?
2) ベネフィットを満たす上で、自分が競合より優れている点(差別化ポイント)は何か?
3) その差別化ポイントを評価してくれるお客様はどんな方か?
4) 具体的にどんな4Pで差別化するのか?
という流れで考えれば、全体に整合性・統一性が必要であることはおわかりでしょうし、そんなに難解な考え方でないことはご納得いただけると思います。
もちろん、他にも色々な考え方は手法はありますが、基本中の基本はこんなものです。
では最後に、そのまとめとしてディズニーランドをとりあげてみましょう。
●「価値を提供してお金をいただく」ディズニーランドの仕組み
価値を提供することは、ある意味みんな頑張ってやっていることです。本当に難しいのは、その「価値」を「お金」に変えて、お客様からいただくことです。
この秀逸な例がディズニーランドです(以下TDR、東京ディズニーリゾート)。TDRがお客様に提供している価値の高さは、疑いの無いものでしょう。色々な本も出ていますし、何よりほとんどの日本人は行ったことがあるでしょうから、体験されていると思いますのでここではふれません。とにかく素晴らしいです。
しかし、本当にすごいのはここからです。2006年のオリエンタルランド(TDRの運営会社)のアニュアルレポートによると、
入場者数: 2477万人
客単価: 9220円
となっています。2500万人という入場者数もすごいですが、客単価が9千円ですから、家族4人で行くと3万円以上一家で出費します。TDRは高い価値を提供し、そしてそれをしっかり対価として集金していることがわかります。
では、その客単価はどうなっているかというと、
チケット収入: 4038円(44%)
物販: 3144円(34%)
飲食: 2039円(22%)
となっています(同アニュアルレポート)。このあたりに秘密が隠れていそうです。チケット収入が案外低いのですね。物販と飲食で半分以上を超えています。なぜそんなに物販・飲食比率が高いのでしょうか?
ディズニーシーに行き、その構成を実際に数えてみました。手で数えているので、間違いがあればご容赦ください。そんなに大きく間違ってはいないと思います。
アトラクション・ショー:32 (32%)
ショップ:33 (33%)
レストラン:35 (35%)
(2006年8月)
ここでだんだん秘密が解き明かされて来ました。施設数を数えてみると、ショップ(物販)、レストラン(飲食)の比率が68%と、7割近い数字なのです。ショップとレストランを多く配置し、そこで客単価を上げている、つまり、それが「集金」の役割を担うという戦略が見えてきます。
すると、TDRの色々なことに合点がいきます。「ファストパス」という仕組みがあります。人気のアトラクションは並ぶので、整理券を配るのです。2時間後くらいに行くと、並ばずに優先的に入ります。あるアトラクションのファストパスをもらうと、別のアトラクションのファストパスはもらえないのです。すると、待ち時間ができますね。そうなると……ショップに入っておみやげでも見るか、カフェに入ってお茶でも飲むか……ということになります。そう、そこで、「集金」されるのです。それも、別にイヤな集金ではなく、コーヒーを飲めばお金を払うのは当然です。
パークは広いです。歩き回ると疲れますが、疲れたな、と思うと、ちょうどいいところにベンチやちょっとした屋台店でお菓子を売っています。ちょうどいいところにあるのも当然で、それだけたくさんのお店を配置しているのです。そこでまた「集金」されます。
夜には、エレクトリカルパレードなどの素晴らしいイベント・ショーがあります。見る「価値」がありますので(TDRの価値提供)、それまで待つことになります。夜なので、当然お腹が減ります。夕食を取ることになります。夕食だから、ちょっと贅沢したいと思うと、客単価の高いしっかりしたおいしいレストランがあります。そこでまた「集金」されます。飲食店も、500円の軽食、1000円のカフェテリア、数千円のレストランと、色々配置されています。
つまり、価値を提供して、滞在時間が長いほど、物販・飲食にお金を使ってくれ、そこで客単価が上がる(集金)わけです。
ディズニーランドは、アトラクションで集客を行い、物販・飲食店で半分以上を稼ぎ出す、巨大なショッピングパークなのです!
昔は、アトラクションに乗るときには、チケット制でした。すると毎回お金を払うことを意識しますので、早く帰りたくなります。しかし、今は乗り放題ですから、いつまでいても大丈夫です。だから安心して長居できます。事実、TDRの滞在時間は、8時間を超えます。すると、TDRで2〜3食することになります。滞在時間が長ければ長いほど、お金を使います。近くのホテルに滞在してディズニーランドの次にはディズニーシーに行けば……すごい金額になります。
TDRは素晴らしい価値を提供しています。まさに魔法の国、夢の国です。しかし、魔法を提供するのは、従業員教育、イベント・アトラクション投資、などすさまじくお金がかかりますから、「価値を提供」したら、「集金」しなければいけません。TDRは、その「集金」の仕組みがきっちりできているわけです。利益率の高い飲食については、当たり前ですが、独占です。楽しんでもらって、そしてしっかりお金をいただくわけです。
TDRには、「お子様ランチ」の話など、数々の伝説があり、高い価値を提供しています。それはすごいことです。そして、TDRの本当のすごさは、その価値をしっかりお金に変える仕組みができていることなのです。高い価値を提供し、そしてお金を喜んで払う、というすごい場所です。
マーケティングの本質は、「価値を提供し、対価としてお金をいただく」という単純なことです。しかし、簡単では全くありません。その両方を非常に高いレベルで実現しているのがTDRです。
上記の基本理論は、この本↓で詳しく説明されています。ご興味があればどうぞ。
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